愛の手掘り隧道 [廃墟・廃校・古道・隧道]

急にDFの記事にアクセスが増えてきた。感謝!。ここで原2オフミーティングを企画すれば、皆来てくれるだろうか!?

さて、前回予告した通り、茂原市の「愛の手掘り隧道」の記事だ!
※写真を大きく表示する方法がわかったので、今回から、時折大きくしてみます。

数年前に行ったのだが、今回4月末に再取材をした。


入り口は茂原市の、長照寺の横。そこから、すぐ先の妙照寺までを結ぶ道の途中に、隧道「長谷トンネル」はある。



見えにくいが、左奥にDFを停めてある。この道は、一応町道らしい。ここからは徒歩で行く。
隧道1.png

付近に、話を伺える住民が見当たらないので、一人で隧道に突入。
まだ隧道あるぞ!!  オラ、ワックワクするぞ!
隧道2.JPG
鬱蒼としていて怖い。ここ、日本ですか?インドネシアじゃないの?
左にはお墓がある。写真左上に6本くらい大きな木が生えているが、昔は山を越えて、その木の間を小学生が通ってこちらに通っていた(危なっ!)らしい。
そんでもって「危険だから、隧道を掘ってあげようじゃないか!かわいい子供達のために!!」となったらしい。







参考画像 本物のインドネシアのジャングル↓ 似てるな(笑)
i.jpg



さあ突入だ!!




うおおおおお!
隧道3 (2).JPG
隧道の長さは、38メートルとのこと。壁面はツヤツヤで綺麗。今でも十分、隧道としての機能は保たれている。使われていないのがもったいない!
小さい画像でもう一度↓
隧道3 (2).JPG
隧道の中は綺麗で、歩きやすいためすぐ通り抜けられるが、問題はその先。

うわっ!やだな!前と同じ藪だよ!(心なしか前回よりは楽だ・多分、藪に慣れたから)。
隧道3b.JPG
実際は、もっとじめじめしていて、足場は悪く、嫌な生き物がいないかビビりながら歩く。

樹をバキバキ踏み荒らしながら、恐竜が出てきそう・
IMG_7118b.JPG

道は、ほぼ無い。でも行く。楽しいから。冒険魂に火が付く。生きてる実感がある。

IMG_7119.JPG


藪漕ぎが終わると直立した竹が行く手を阻む。
隧道4b.JPG


やった!通り抜けたぞ!
通り抜けるとまたお寺!名前も似ている妙照寺。山が集落を分けていたので、こんな近くにお寺が近接しているのだろう。
隧道5b.JPG

そこで、農家の年配男性に聞いた。
「ちょっとそこのトンネルについてお聞きしたいんですけど」
「ああそこはもう通れないよ」 「あ、今そこ通ってきたんです」
「なんでそんなこと聞くの」・ヤバい!不審者と疑っている!
「いや。旅の者なんです(古い表現やな)。こういう所が好きで廻ってるんです。」
「あ50年くらい前ね、薫風小学校ってのが山の向こうにあって、そこに通うために掘ったんだよ」
「でもこんな立派なトンネル掘るのは、相当大変でしょうね。」
「わかんねえ、昔の人が掘ったから」(その当時は、おそらくこの方はまだ子供・つか通ってた本人じゃね?)
なんか忙しそうなのでお礼を言って、また来た道を軽く藪漕ぎしながら、帰る。

もう漕ぎ慣れたは(笑)。
向こう側で、DFはじっと待っている。
隧道4.JPG
ここで新聞の集金が来て、お寺の住職が出てきた。チャンスだ!!取材だ!!!

前回もそうだったが、この住職はとても優しく親切な方。そして話し好き!隧道と関係ない話も折り交ぜ、延々と30分くらい・・す・睡魔が…zzzzz~・その中から得た情報は・・
1・この隧道ができる前は、あの山を越えて子供が通っていた。
2・危険なので向こうとこっちの集落の人が協力してトンネルを掘った。(茂原市の資料によると、明治15年完成)※これについては、住職の話と食い違い、少し疑問が残るので、記事最後を参照下さい。
3・一応町道だ。
4・20人くらいで掘った。(後日検索で全長38メートルと判明)。一日に2メートルくらい掘れるので、大体20日で完成(そんなに簡単に出来んの????!!!)。
5・せっかくトンネル掘ったが、昭和30年に廃校になってしまった為、そこから使われなくなった。
6・薫風小学校はこの向こうに、跡地があって石碑がある。(明治15年創立~昭和30年閉校)
7・ここには狸が7匹も来た。「まるで証城寺ですね」「え、アッハッハッハ!それでな・」住職ヒートアップ(まずい、日が暮れてしまう。もうすぐ17時だ)「じゃそろそろ、石碑を見に行ってみます」
住職はもっと話したそうだったが、お礼を言って石碑に向かう!


最後に住職がこういった・・・・・・・


「なんか若い人かと思ったら、結構歳いってそうだね、アハハ」
(ほっとけ!!笑)
くそっ、マスク効果あまりなかったか。なんのこっちゃ(笑)。結構どこに行っても「お兄ちゃん」て呼ばれるのに・・・。ま、いいわ。(-_-メ)。


お寺の猫ちゃんにもバイバイ。「かわヨ」と書きたいが、野良系らしく、正反対の鋭い雰囲気。
隧道6.JPG

長照寺を背に振り返るとこの景色。
この道を向こうに行けば石碑があるらしい。田の水をかすかに揺らしながら、4月の爽やかな風が吹いている。私の大好きな風。

隧道 (2)b.JPG


石碑はどこだ・・・
少し迷ったが、あった!!
隧道 (3)b.JPG
ついに来たぞ。・・・近寄ってみる・
隧道 (4)a.JPG



当時は、広いグラウンドがあったかもしれないが、道路や住宅に分断されて、何もわからない。


この辺りは茂原から、藻原寺を経て長南町まで人車軌道があった場所だ。おそらくこの田のどこかを走っていたと思う。小学校の生徒も見ていたはずだ。明治42年~大正15年まで。また人車ってのがたまらないのだ。茂原市郷土資料館に実物が現存する。奇跡だ。本当にありがたい。
これよ↓
OIP.jpg

こんな風に押す。コレはきついだろう。しかし、どんだけスタミナあんねん!
押しているのは、窓なしの天蓋付き車両だ。奥の駅舎?には窓ありの普通車両がある。窓なし天蓋車は、暑い日専用なのではないだろうか?どうせならこれに乗りたい。
OIP (1).jpg

まるでテーマパークのよう・なんてお洒落で可愛いのだろう。押し歩きの人車にも、当時最先端のデザインを与えたのかも知れない。
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 側面には千葉県のマークが。押夫は公務員かと思っていたが、茂原市の学芸員によると、民間に委託されていたそう。一日2往復を二人ががりで押す。坂道では、客も降りて押すこともあったとか(!!?)。
これはやがて、昭和5年開業の南総鉄道へと変わるのだ。しかもその遺構は、今もいくつか残っている。その話はまたいつか。
jinsya.jpg

そのころ上野~新橋間では
r2.png
財力ありすぎ!(政府がやってるから)。


最後に遠くから跡地を見る。
一番中央寄りの電柱の前が、石碑の場所。当時の子供たちも見たであろう夕景。ああ・百数十年の時の狭間にいる自分・この、何とも言いようのない気持ち。

隧道 (1)b.JPG




タイムスリップと楽しい取材。ネットに無い情報もゴロゴロ出てきて、勉強になった。何といっても手掘り隧道が、20日くらいで出来る事が知れて良かった。掘るのは大変だが、工期も比較的短時間で済み、隧道に適した土質の多い千葉の山だからこそ、あちこちにあるのだ。

自粛中にぴったりの、古道・隧道巡りはここまで。今日も楽しかった。

正直なところ、隧道マニアの方は沢山いらっしゃる。ブログでも詳細に解説している。写真も綺麗で解り易い。
しかし、自分で現地の方々に取材すると、どこにもない情報が手に入ることもあるのだ。(体験に敵うものはないっていうでしょう?)。だから行くのだ(レインボーマンではない)。
できれば廃道・廃線巡りサークルに入りたいものだ。

※気になったこと・・住職は、「みんなでトンネルを掘ったのに、10年くらいで廃校になってしまったので‥」のようなことを話していた。茂原市の資料では、明治15年に掘られたとなっているが、実際は、もっと後に掘られたのではないのか?例えば、最初は山越えで通学していたが、戦後(昭和20年頃)に掘られたとか・・。だとすると、和尚の証言と辻褄が合う。謎多き歴史ロマンに終わりはないのだ。この件については、今後新情報があればお伝えしたい。

ではまた。

興味のある方は、試し読みを↓







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tomi_tomi

さすがにトレール車 こんな道でも走破出来ますね! アスファルトやコンクリートばかりでなくこんな道なき道も走ってみたいです^^
by tomi_tomi (2022-05-01 03:02) 

のんびりヒーロー

tomi-tomiさんありがとうございます。
車重が軽い(129㎏)ので、行き止まりのUターンで助かっています。

でも、私はアップハンドル派なので、tomi-tomiさんのGSR250Sのポジションや燃費、風防効果が羨ましいです。
by のんびりヒーロー (2022-05-01 15:03) 

響

隧道だいすきなのでたまりません。
入口のジャングル状態もすごいですね。
意外と地元の人って近所の遺構など無関心だったりしますよね。
by (2022-05-06 20:59) 

のんびりヒーロー

響さん・コメントありがとうございます。響さんの九州ツーリング記事の完成度の高さに、いつも圧倒されています。
 おっしゃる通り、地元の方は、無関心な方が多いです。稀に、地元愛の強い、地元に詳しい方にお会いすると、謎が解明され、楽しくてたまりません。
ぜひまたご訪問下さい。
by のんびりヒーロー (2022-05-07 11:21) 

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