日天様隧道(トンネル) [廃墟・廃校・古道・隧道]

 市原市に鳳来寺観音堂という、国指定重要文化財がある。その近辺に、日天様隧道という、手掘り隧道があるらしい。
昔、農作業や、子供の通学に使われたそうだ。行ってみよう。
そのあと、他へ移動し、隧道を3本回ろう・・・と思っていたのだが・・・・・


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観音堂にお参りを済ませ、目指すは手掘り隧道!

※マップに隧道も載っているので、行かれる方は参考にしてください。一人でも気軽に行けます。ただし通り抜けられません。車や、大きいバイクは鳳来寺観音堂駐車場へ。自転車・原付2輪の人は、集落の狭い道を通るので、徐行で通過してください。


その前に、すぐそばに気になる橋があったので、行ってみた。
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理想的な田舎の橋。小学校の夏休み、親戚のおばあちゃんの家に来て、毎日遊び、下の川で泳いだり、魚を取ったりしたい。そんなイメージがわくが、もう叶わないんだな。

この橋が気に入ってしまった。しばらくここにいたい。

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左中央に石碑が見える・何の石碑か確認してみた。

電気柵に触れない様歩く。
着いたぞ。 
左の茂みから山鳥が「ズバババババババ!」と飛び立ち腰を抜かす。なんであんな大きな音やねん。
バイク並みの音だ。

吉沢小学校乃跡?!やった!!!小学校跡だ。
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小学校跡地に来られるとは・・ツイてる。
子供たちの明るいエネルギーで満たされた、縁起の良い土地。どこの跡地に行ってもそれを感じる。 だからいつも巡り歩くのだ。
跡地側から橋を望む
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もう一度先ほどの写真を見てみよう
橋の向こうに一段高くなった所がある。ここが吉沢小学校跡地なのだ。
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そしてその左奥に、移転前の鳳来寺観音堂があったらしい。



もし行かれる方は、このルートで歩くとスムーズに行ける。農作業中の方がいたら許可を取って欲しい。

日天様隧道↓.jpg

いったい、いつ頃の小学校なんだろう・・・



話をトンネルに戻そう。
さあ出発!!
トンネル手前左側は、現在排水溝工事の為、重機が稼働しています。邪魔にならぬよう注意。

あったぞ!!日天様トンネル!!!
入り口手前左端にDFを駐輪。重機の跡があるので、たまに通過するかもしれない。端に駐輪する方が良い。
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入り口には フムフム・・

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??6年にできたらしいが、肝心なところが消えている。農作業だけを考えれば明治の可能性もある・小学校通学使用なら、大正か、昭和・・。この解明が今後の課題だ・・。


昭和56年に 市が350万円で補強してくれたのか・・だから半分はライナープレートで覆われてしまっている。途中から綺麗な地肌が露出する。しかし今はだれも通らないらしい。

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日天様トンネル.jpg


コウモリはいませんね・・・いた!!ギャ~!!!(腰をかがめて逃走!)

外は荒れた林・・根性で100メートルくらい下り進んだが、何故か平地は沼のよう・・引き返した。
とにかくこの山は水を持っていて、清水が彼方此方湧き出している。

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杉が大きく育っているが、隧道出口下の土地は、約15坪づつ、3段になっている。昔は棚田だったのではないだろうか?(これについては、帰り際に解明されることになる)。

帰りもコウモリを見ないように、腰をかがめてダッシュ!
出口付近でコウモリが大きく舞い、こちらに向かっているように見えてしまい、悲鳴を上げる(笑)。

帰りに農家のご婦人に、トンネルの先の話を聞くと、これまた笑顔で丁寧に話してくれるので、話が弾んでしまい、「よく、金毘羅様に行く人がいるようですよ」というのでUターン。隧道入り口の手前を左折、お墓の横の山道を歩くとすぐあるという。しかしこれが苦難の始まりだった。

良い道じゃん!などと最初は余裕。虚無僧が出てきそうな山道。
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しかし行けども行けどもつかない、尾根伝いに歩く。見下ろしても何もない。

切通があるのでここで間違いない!
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しかし、たどり着けず山を下りていく、なんとなく道はあるのだ。1キロくらい歩くと向こうから人の話し声が、「田んぼか畑の作業中だ・行ける!!」  しかし話し声は止み、もう聞こえなくなってしまった。頼りのスマホナビが、なぜか起動しない・・現在地をつかめないのだ・・
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仕方なく歩くと道がぬかるんできた。さっきから猪の足跡ばかりだ。泥浴びをした跡も数か所あった。出会ったらヤバイ。

どんどん山を下りる。道はすでにない。もう戻れない。行くしかない。
倒木をよじ登り、イノシシの足跡残る、獣道を行く。
しかし慌ててはいけない。廃道探索にはよくあることだ。感を研ぎ澄まし、自分ならどう道を作るか?を考え進む。


素晴らしい農業用水用の隧道もあった、泳ぎたいが、場合ではない。
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葦をかき分け山道を見つけた。
やった。2キロくらい歩いて農道にたどり着いた。平地ではないので倍以上の疲労。遭難するかと思った。
トボトボ進む。道は気持ちよい。
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これはさっきの橋に向かっている。体内磁石がそう答える。1キロくらい歩く。
やはりそうだった。
※その時の写真はないので、別な写真で代用
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※いいな・こんな綺麗な風景・サザエさんみたいな大家族で、田舎でドタバタ愉快に暮らしたかった。
無いものねだりだね。それに田舎は人付き合いも濃いから・・。

さっき、「ここに住んでください(笑)」なんて言われて、嬉しかったけど、仕事場が遠くなるからな~。「あの家売りに出されてるよ」なんて教えてくれる方もいた。

とにかく無事に戻れて良かった。でもすごく楽しかった。冒険だから(無理はいけないけどね)。

天気もいいし風は爽やか、足は棒のよう。というわけで16時近くになってしまい、残りの隧道はいけなかった。

帰り際に、向こうから挨拶して下さった年配のご婦人に、質問しまくった。す~~~ごい親切な人。
頭の回転も記憶力も良さそう。
小学校跡地の質問したら、家からこれを持ってきてくれた。これは解り易い!!

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ご婦人に聞いたこと。

1・あの学校跡地は吉沢(きっさわ)小学校という。明治8年開校。同32年富山尋常小学校に合併。同35年吉沢分教場設置、同43年廃止。おそらくその時に廃校になった。
(明治に完結している話だ。
だから出会う数人に聞いても、学校については分からなかったのだ。)

2・後ろに見える山の頂上は城跡だ。登頂を試みた観光客が2回失敗したらしい。たどり着けなかった。
城があった時代、鬼門の方角にあの神社を立てた(道を挟んで、すぐ後ろの小山に鳥居が見える。國常立神社)。


3・私は娘時代に、移転前の鳳来寺観音堂でよく遊び、夏休みの宿題をもっていって、そこでやったこともある。
また、年に一度は敬老席を設け、有志によるダンス発表会が開催され、お祭りのようだった。
まさか国の重要文化財になるとは思わなかった。今も跡地に束石が転がっている。

4・日天様トンネルの向こうは棚田だったらしい(やっぱり!)。今は使っていないので湧水が下に流れ沼地のようになっているのだろう。先に行くのは難しいと思う。私はあちらの橋から富山小学校へ通ったので、トンネルを使わなかった。使ったのはトンネル前の集落の子供だと思う。


親切な方のお陰で色々な謎がスラスラ解けていく。こんなに気持ちの良いことはない。ドーパミンや、セロトニンが分泌されているのを感じる・だからイやなコウモリを我慢してでも、隧道廃校巡りがやりたくなるんだな。過去に生きた先達と繋がれるのだ。生きる強さをもらえる。
親切なご婦人に、丁寧にお礼を言い、別れを告げた。

念のため、移転前の鳳来寺観音堂後跡に行ってみると、ご婦人の言う通り、名残りの束石があった。

その束石・ざっと見て9個あった。
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 今回小学校跡を見られると思っていなかったので、幸運だった。
明治のうちに消えた、日当たり・風通しが良く、農作業中の保護者も見守り易かった吉沢小学校。
その学校跡地で走りまわる、明治の子供たちを感じることはできた。
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ここは30分位で切り上げて、昼食にするつもりだったが時すでにお寿司(古い)。朝食も抜いている。
しかし里見小学校まで行けるそうなので、そこまで行った。走行約5分位か。

里見小学校も廃校なのだが鉄筋なので、撮らなかった。しかし向かいのブロック塀に、ドラえもんやアニメキャラがペンキで描かれ、消えかかっていて何とも良い味わい。ここでも親切な、ガーデニング中のご婦人が、道に出てまで教えてくれた。ここは保育所跡地らしい。
が、バッテリーがぎりぎりで写真が撮れなかった。機会があれば撮りなおして、アップしたいと思う。

とりあえずおにぎり食べたい。ミニストップ発見。

密度の濃いツーリングとなった。おにぎり2個を補給し、家路についた。帰るまでに暗くなるけど、H4ライトがあるから大丈夫。

ではまた。



今、NHK「100分で名著」で、今回の記事につながるテーマを特集しています。










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